中学生の頃、
同級生からもらった水晶を大事に箱にしまっていました。
そのころの宝物でした。
岡山県には「大賀デッケン」(高梁市川上町)と呼ばれる
新旧の地層が逆転して現れた
珍しい場所もあります。
私の通っていた中学校は、
県下有数のマンモス中学で
中国山地の最南端の連なりを含む
たいそう広範なエリアが学区でした。
当時、山奥(失礼!)から通っていた
同級生は道すがら、
そういう秘密の場所(絶対に在り処を教えてくれなかった)で
石英の結晶や化石などを採掘(?)していたらしいのです。
地球の奥底で何万年もかけてできた鉱物には
人の心をとらえる、妖しい魅力があります。
閉じ込められた時間と、
何かわからない深遠なもの。
中学生の私は、
こうして鉱物の深い深い魅力に
引き込まれていったのでした。
「Desert Rose」と呼ばれる砂漠のバラ。
これは、硬い破片が渦巻いて
バラの花を思わせるような
不思議な造形になっています。
正体は、
硫酸カルシウム(石膏)が砂漠の砂を含んで
バラ状に結晶化したもの。
ヨーロッパの蚤の市などで時々見かける
これらは、たぶんサハラ砂漠のものでしょうね。
ヨーロッパには、
モロッコやチュニジアからの移民が多いですから。
色は、その場所の砂の色なので
ほとんどが茶系です。
でも、オランダのある店で
青いのも見たことがあります。
それは、サハラ砂漠ではなくて、
メキシコあたりのものかもしれません。
大きな塊は重いので、
机上で楽しむぶんには
片手の握りこぶしくらいが妥当でしょう。
見れば見るほど
優美な造形です。
なぜ、このような形になるのか、
風と砂と時間に聞いてみたいものです。
大小さまざまのアンモナイトの化石もあります。
これもまた、海底が隆起した地層に眠っていた
古生代の記憶のかけらです。
石化した巻貝の中にある
石化したロマン。
“神は細部に宿りたまふ”