「ほどく」という作業が昔から好きでした。
きつく縫っていたところに、カッターかはさみで切れ目を入れ、
ここを突破口にしてほどいていくのです。
「ほどきもの」という日本語はゆかしく、品のある言葉だと思います。
もともとは着物をほどいて、傷んだところの場所を変えて組み合わせ、
再度仕立て直してリニューアルしたところから
きているような気がします。
ものを大切にする丁寧な暮らしの匂いが立ち込めています。
きょうは、そのほどきものをしています。
袋状になったフィードサックは、ほら、意外と頑丈にできているんですよ。
縫い糸はかなり太く、ケーブルのようなステッチのミシン目で縫われています。
「grain(グレイン)」と呼ばれる穀物(麦や飼料など)を入れる袋だったので、
実用性も必要だったからでしょう。
そのため、ほどくと大きな穴がプチプチと開いてしまうのが特徴です。
でも、これが本物のフィードサックの証かもしれませんね。
ほとんどが1920年代〜50年代までのもので、数が限られているせいか、
アメリカに買い付けに行くたびに高くなっています(ため息)。
ビンテージファブリックの中でも
フィードサックは、ほぼ値段が決まっていて
ディーラーは強気で、その値段を崩しません。
レアな模様のものは、とても手が出ないほどです。
近年、キルトファンをはじめ
この布のよさに目覚める人が多く、
何度も水を通して白っぽく、くったりと柔らかくなった感じは
年月を経たものならではの心なごむ手触りです。
しかも、模様の可愛さは、とびきりで
その明るくキュートな色合いと楽しいパターンは
古き良きアメリカそのものです。
どうか、上手に再生してくださる方の手元へ
届きますように。
2009年11/27(金)・28(土)開催「倉敷ジェンヌの雑貨旅」